第11章 江戸前とは
「江戸前」とは本来江戸城の前と云う意味であり、江戸近海で獲れた魚を鮮度の良さで自慢した 処からでた言葉である。のちにこれが江戸即ち江戸風、東京風料理にの意味に転じたものと考えら れる。また、江戸前とは上方に対し江戸っぷり、江戸らしい流儀を指し、江戸も落ち着き始め、上 方文化から離れた江戸っ子の自信が芽生え、上方とは異なる粋といなせが建前である江戸的考え方、 行動、作法が形作られてくる。一方、上方では都好みがもてはやされた。また、江戸人は東京湾を 江戸湾とは呼ばず「江戸の海」と称した。それほど広大で自然に恵まれた豊穣な海であった。
ここで「江戸の食文化」の拡大版として、江戸前の海で獲れた魚と江戸野菜について少し筆を加 えてみよう。肉を食べる習慣がなかった江戸時代、魚も野菜も江戸人の食生活には欠かせない食材 であった。先住の御先祖様達がどの様な物を、どの様な処で取り、どの様に食べていたのであろう か? 少々検索を入れてみる。江戸前と呼ばれた魚介類や江戸野菜は食生活の変化や、女性の少な かった江戸では、手間ヒマを省いた塩分が多少きいたもののレシピが好まれ、粋ときっぷを持ち味 とした職人文化、外食文化、屋台文化へと開花していった。
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