リ 茶と弁当

「夏も近づく八十八夜」茶は椿科の常緑低木、立春から数えて八十八日目の五月初旬から茶摘み が始まる。春に新しく出た新芽とその下の葉だけを手で摘み取る。高級なお茶は「一心二葉」これ が一番茶となる。六月に摘むのを「二番茶」七月に摘むのを「三番茶」後になればなる程アミノ酸 含有量が減り味が落ちる。ついでながら「花も年頃番茶も出花」と云う言葉がある。番茶は前年摘 み残した葉と小枝を刈り取って蒸して陽に干したものを指すが、この番茶も和紙と竹で作った「ほ うせん」なる団扇、言い換えると金魚すくいの道具の様な物にのせ炭火で焦がさない様に炙り、こ れに鉄瓶の湯を注げば立派な玉露になる。人間様も育て方、扱い方次第で見違える程の玉露になる。

  江戸も現代も行楽のお伴はお茶。蒸気機関車の時代はホームに売り子さんが茶瓶、汽車土瓶に入 れたお茶を売りに来た。元祖はやはり茶処JR静岡駅である。その静岡県JR金谷駅を降り、石畳 みを登ると牧の原台地に出る。山々に囲まれた山肌に緑の茶畑が綺麗な稜線を描いて美形をなして いる。茶の原産地は中国南部の霧の多い山地だと云う、牧の原も山合いから降りてきた霧が新芽を 優しく太陽から守っている。「朝霧よ今日もありがとう」である。

  ホームの売り子さんは「お茶に弁当、お菓子~」とくる。我が国最古の携行食弁当は万葉集に出てくる。

  家にあれば「け」に盛る飯(いい)を草枕   旅にしあれば   椎の葉に盛る

  乾飯はもち米、うるち等を蒸して乾したもの、そのまま食べたりお湯に浸して食べる。   時代は巡りうな丼でも登場した芝居町での弁当は握り飯に蒟蒻、芋、蒲鉾に玉子焼きを加えた幕 の内。この握飯「守貞漫稿」によると、むすび古くは「屯食」どんじきと呼んだ。江戸系は円形、 三角、関西系は俵型、手で握るか木型に入れるかであるが、コンビニお握りは海苔を巻くまで全て 機械、古い人間としては、やはり手でがっつりと握られた「母さんの味」直巻きの握り飯がいい。

  飲まぬ奴   弁当喰って   花に飽き  

江戸純情派「チーム江戸」

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