チ 泥鰌
鰻ときたら泥鰌でしょ と勝手に順番を決めて、この泥鰌君姿、形からイメージする以上に人間 様の健康に貢献している。貧血、夏負け、胃潰瘍に効能があり鍋にすると少々飲みすぎても悪酔い しない。呑 ノンベエ 兵衛の強い味方である。美味賞味期間は初夏から盛夏、雌は雄よりもはるかに大きい、 何処かの世界と似ている。
昔、幼い頃学校の帰りに田んぼに寄って良く泥鰌を獲った。足を泥の中に突っ込むと指先から足 裏にぬるっと動く奴がいる。そいつが泥鰌だ。すかさず掴まえバケツの中へほおりこむ。この作業 を陽がとっぷり暮れるまでやって家路に急いだ想い出がある。この日は少しズボンに泥がついてよ うが、宿題をサボろうが母親は文句云わなかった。手早く牛蒡を笹がきにし、葱で増量した鍋に醤 油とみりん酒、砂糖で味を調え煮る事しばし、立派などんじょう鍋の出来上がりである。
まるごとの泥鰌鍋に対し「柳川鍋」がある。泥鰌を鰻宜しく割いたものである。柳川と云われる 所以は、九州柳川で始まった、小さいものが柳の葉に似ている、江戸横山町の「柳川」と云う店で 考案された料理法、と諸説ある。
因みによく老舗の看板等に、どじょうの文字でなく「どぜう」なる文字が書かれている店を見か けるが、これは撞木屋なる看板書きが看板板の中にどじょうの四文字が収まらず「どぜう」と三文 字にはしょったと云う経緯があってあの文字となった次第である。
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