ニ 江戸の調味料・醤油
前日は下り酒で少々ホロ酔い気分になって頂いた処で、今回はそのアテに欠かせない調味料、
醤油のお話である。酒なくてとエールを送った日本酒に対し、醤油もどっこい日本人いや今や世界 においてもメジャー商品である。
何故か? ちょい昔までステーキにはソースであった。しかし、欧米人でもサッパリ系を好む人 達はステーキ用醤油をかける。適度の塩味と肉の生臭さを消してくれる香りが好まれる所以である。 他に海外でも人気の日本料理に使われているのは勿論である。歴史的にみても鎖国の時代、長崎の 出島から伊万里焼の瓶 びん につめ「金富良」こんぷら醤油の名で輸出され、ルイ一四世も宮廷料理で肉 料理の隠し味に使っていた。日本の醤油は「ソイ・ソース」として世界で堂々王道を歩いている。 食べる人達が醤油顔とは限らないが。
醤油の起源は古代中国の醤(ひしお、ジャン)にあると云われる。日本では弥生時代にその起源 をみる。時代は巡り食用味噌の製造過程ででる上澄みを汲み、液体調味料とした。ここから発展本格的に木桶で作られる様になる。
開府により急激な人口増加をみた江戸は、上方から清酒、油、みりん等と共に醤油が運ばれてき た。享保一一年、江戸湊に入津した醤油は約一三万樽、うち下り物は七六%を占めていたが、文政 四年、約一二五万樽入津、うち下り物約二%、安政三年には約百五拾六万五千樽のうち下り醤油は 約六%に落ち込み、銚子、野田の下らぬ地回り商品(濃口醤油)がこれに代わり、箱崎川周辺の行 徳河岸に揚げられる事も多く、ガリバー的寡占状態を占める様になっていく。
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