「鉄道の日記念」➁18きっぷお薦めローカル線
<18きっぷ>お薦めのローカル線の旅&1枚残り日帰りの旅
全国乗り潰し、お薦めローカル線は全国各路線、何処もお薦めである。今回は紙面の関係からいくつかにまとめ、山ほどあるローカル線は、後日、順次、季節に合せて、歴史、温泉、グルメなどをふんだんに織り込みながら、内容豊富でお送りしたいと思う。
<イチオシ全国ローカル線>
「釧網本線」網走~釧路 169㌔、約3時間20分の旅である。オホーツクの網走を出発した電車は、知床斜里で大きく右へカーブ南下する。屈斜路湖、摩周湖の間を抜け、ラムサール条約の「釧路湿原」の中を走行、丹頂鶴のつがいも見る事ができる。終点釧路では駅近くに市場もあり、海の幸も堪能できる、また、これより先「根室本線」は、北の太平洋岸をひた走り、国境の町へと進む。みぞれ混じりの波風が吹きつけ、冬の北海道の荒涼とした風景が実感出来る。
「五能線」東能代~川部 147㌔、約4時間20分の旅である。秋田から北上してきた「奥羽本線」は、東能代で大きく右に切れ内陸部へ向かう。一方、東能代を出発した五能線(下り)はそのまま北上、奥羽地方の北西部の海岸線をぬう様に進み、日本海の絶景美が味わえるシーサイドビュウ路線である。ナラ、ブナが生い茂り、クマゲラなどが棲息する、世界自然遺産「白神山地」を抜けると、艫作(ヘなし)駅に着く。ここに日本海の荒海が押し寄せる海岸線に「黄金﨑、不老不死の湯」という、何とも有難い名の露天風呂がある。鉄分の多いためか、岩風呂は鉄さび色に染まり、それが日本海の夕陽に照り返され、黄金色の湯になるという寸法、にわかに令和の太閤様になる。(桃山の太閤さんは晩年、ウエルニケ症候群に悩まされたが)東北の温泉はこの先、鯵ヶ沢にもある。五所川原では、夏は立ちねぶた、弘前、青森などでも武者絵など、ねぶたの山車が楽しめる。
「小海線」小淵沢~小諸 80㌔、約2時間20分、愛称「八ヶ岳高原線」と呼ばれるように、八ヶ岳の山麓を、ハイブリット車で走る高原列車である。この路線はJR標高最高駅野辺山駅1345、67mをはじめ、清里、佐久平と、1000m級の駅が上位9っも占めている。夏にはすずらんの花が咲き乱れ、各種ソフトクリームが楽しめる。温泉なら甲斐大泉駅、露天風呂から雄大な八ヶ岳のパノラマが楽しめる。勿論、千曲川を望む「懐古園」終点小諸もいい。
「篠の井線」篠の井~塩尻 53㌔ 約1時間20分のプチ旅行である。直江津で内陸部へ南下、妙高、斑尾、黒姫山など2000m級の山々を左右に眺めた「信越本線」は、長野を過ぎ篠の井が終点である。篠の井駅を出ると次が稲葉山、その次が日本三大車窓の「姥捨(うばすて)駅」である。この駅称は昔、飢饉などで食糧事情が常に悪化していた頃、口減らしの為、お年寄りが山へ捨てられたという伝説からきている.高架線のホーム(上り)に立つと、眼下には善光寺平が拡がる。電車は眺望用と撮影用に暫く停車していてくれる。また、ここ信州は蕎麦が名産、国宝「松本城」の黒い天守閣を眺めながら、香りのよい蕎麦も楽しめる。「信州信濃の新蕎麦よりも あたしゃあんたのそばがいい」そう言ってくれる女性(ひと)は少なくなった。
「大糸線」松本~糸魚川 105㌔、約3時間、松本から穂高、爺ヶ岳、白馬など北アルプス一万尺の山々を眺めながら、日本海、ホッサマグナの糸魚川まで北上する山岳列車である。下り線を利用するなら、勿論、座席は体を全面に向けた窓枠のさえぎりが無い、進行方向左側である。カメラを手元に置くか、常に握っている事も肝要である。でないといい景色にぶつかっても逃げられる。電車は急に停まってくれない。利用する季節、時間もそれぞれのお好みであるが、雪景色、桜の頃、残雪の夏、紅葉の秋、また、朝やけ、残照の時間帯もいい。終点糸魚川に着いたら「北陸本線」を上るか下るか、どちらも日本海の夕陽が楽しめる。
「紀勢本線」亀山~和歌山、380㌔、約8時間30分のロングランである。「関西本線」亀山で乗り換え、新宮、熊野古道へのアクセスがいい紀伊勝浦、西宮からの下り酒を積んだ樽廻船が、潮岬沖で揉まれた串本、冬でも外の着替えが苦にならない、太平洋岸に突きでた露天風呂「﨑の湯」が楽しめる白浜と、常春、紀伊半島の海岸線を堪能する、ご隠居さまへのお薦めのローカル線である。紀伊徳川家の和歌山城も春の頃は更にいい。地元和歌山ラーメンは、やはり江戸より温暖な土地柄を現し、スープが甘く緬も柔らかかった。
「中国山脈横断ジグザグ路線」古えの都、京都から出発する「山陰本線」終点新下関駅と「東海道本線」から延伸した「山陽本線」終点門司駅の間を、山脈を越えながら、歴史ある街々を訪ね歩くJR西日本のお薦め?コースである。一日、朝、昼、夕と3本の路線や、従って僅かの距離でも、半日かかるワンマンカーの路線が多いが、「狭い日本 そんなに急いで 何処へ行く」と割り切れば、史上最大の贅沢な旅となる。車内での飲料水、少し多めの食糧とmyカメラさえ用意しておけば、運転士さん一人、お客さん(と云えるかどうか)一人、スイッチバックなどで、前後運転台が変わる時などは、運転手の方々がこれからの見処を教えてくれる。正にナビ付きの、貸切のmy電車の、on my wayの旅である。これらの路線、合計15本を数える。
「予土線」窪川~宇和島、78㌔、約2時間30分がすぐ終わるローカル線である。愛称「しまんとグリーンライン」その名の通り、最後の清流といわれる「四万十川」を電車で堪能するには、四国南東部を走るこの路線がいい。多度津からの「土讃線」が、龍馬の故郷、土佐の高知を過ぎ、土佐湾沿いをなんばるの凬を受けながら進むと、鰹の一本釣りの土佐久礼、この先が窪川、若井である。若井からは土佐の中村、宿毛まで「土佐くろしお鉄道(民)」が運んでくれ、四万十川の河口や、足を摺り摺りの「足摺岬」も近い。沈下橋を楽しむなら土佐大正、土佐昭和辺りから江川崎までがいい、覗きこんでカメラを撮るならトロッコ電車、予約が必要であるが、平日なら差額を支払えば、トロッコの座席に移動出来る。宇和島から先は「予讃線」、途中駅、八幡浜から大分まで「豊予海峡」を渡るフエリーが就航している。この海峡の下には、呑兵衛、呑子垂涎の、脂がのった関鯵、関鯖がゆうゆうと泳いでいる。
「肥薩線」八代~隼人 124㌔、約4時間(現在八代~吉松間は令和2年7月の豪雨のため、8/2現在不通)愛称「えびの高原線」、熊本(肥後)と鹿児島(薩摩)を結ぶ山岳列車である。人吉~吉松までの上下線に、機関車から車内まで、レトロな内外装を施した観光列車、「イサブロー号」「ジンベエ号」が運行され、訪れる人間を楽しませてくれる。三大車窓の「矢岳」で霧島連山を楽しんだら、次は幸せにまっしぐらに進む「真幸(まさき)駅」。停車の間に幸せの鐘も撞くことが出来、勿論、真幸のきっぷも購入出来る。春から初夏にかけ、坊がつるのミヤマキリシマが楽しめ、九州最高峰、韓国(からくに)岳や、高千穂の峰も望める。
「青春18きっぷ」は5枚綴りである。一人で出かけても、2人で出かけても、4枚使って1枚が残るというケースが多々ある。この残り1枚をこなすのが、18の達人「匠の技」である。きっぷの使用期限もあるし、帰ってきたばかりで、また改めて出掛ける体力、時間を取るのにも大変な場合があるが、購入した時点で、あらかじめ5枚分の使い途を予定しておくのも、ひとつの方法である。そこで、<江戸瓦版>ファンに優しい?「チーム江戸」では、1枚残りの東京発日帰りコースを(帰りを普通きっぷか他の交通手段にすればいい事であるが)今までの乗り潰し行程からいくつかを選択した。「各ローカル線」を、参考にして頂ければ幸いである。
<自然と楽しむローカル線の旅> ㋑春なら菜の花を楽しむ「房総半島一周の旅」千葉から「内房線」に乗り換えると、木更津辺りから東京湾越しに可愛い富士山が望める。先端、館山で海鮮ランチを食べたら「外房線」、安房鴨川など安房のついた駅をいくつか通過すると大網、ここから蘇我へ戻るか、少し足をのばして、成東から「東金線」で佐倉、もっと延ばすなら「総武本線」終点銚子まで行き犬吠岬で、地球が丸い事を確認したら、帰りは「成田線」を利用、佐原、成田、我孫子と帰るのもいい。 ㋺夏なら汐凬満喫の「湘南の旅」がいい。「快足ラビット」で熱海まで行き、さらに「東海道本線」で焼津魚センターで、早めの海鮮ランチを食べ,清水で三保の松原か、沼津で駿河湾クルーズを楽しみ、真鶴で金目とエボ鯛、脂ののった鯵の開きを土産用、自家用に買いこみ、無事東京駅へ御帰還という、汐凬堪能コース。ひたすら電車にに乗るのが好きなかたには、上野を早朝「高崎線」に乗りこみ、渋川から「上越線」「信越本線」と乗り継ぎ、信濃川河口新潟へ向かう。日本海の砂浜で子供にかえり、土産売り場では大人に戻り、越後の銘酒を買いこみ、(道中用のの小瓶も抜かりなく)ひたすら車窓を楽しみながら、日帰りロングランは無事終わる。 ㋩秋なら、水戸から「水郡線」に乗って「袋田の滝」、滝の周辺でも楽しめるが、JRの車窓からでも結構楽しめる。また「中央本線」甲府から、バスで昇仙峡、約5㌔ほどの渓谷美が楽しめる。土産は甲州ワイン、石和温泉の日帰り湯も楽しめる。 ㊁冬なら「富士山ぐるり旅」富士山を車窓から楽しむ横着コースがある。富士駅で「身延線」に乗り換え、富士の宮で名物焼きそばを食べ、下部温泉で鉱泉に浸かり、甲府で今度はほうとう料理を食べ、「中央線」で新宿へ戻る、銀嶺の富士山と温泉、B級グルメの旅である。右廻りコースを選ぶなら、座席は進行方向たえず右側に座る事をお忘れなく。それもきりっとはれた、冬晴れの少し凬のある日がいい。
<露天風呂を楽しむローカル線の旅>
㋑渋川から渓谷沿いを走る「吾妻線」は、中之条、川原湯、草津、万座などが並ぶ温泉地帯である。川原湯駅から程良く歩くと、道端から少し上った処に鄙びた露天風呂がある。しぶ板の木戸に小さな木造りの小箱がぶら下がり、入浴料¥100也、湯の温度が高い為、恐る恐る入らないと、因幡の白ウサギとなる。浴槽はひとつしかないから、混浴ではあるがそれらしき囲いもないし、4~5人も入れば満室御断りの広さのため、とてもじゃないが、断りの札を出さなくとも女性客は望めない。㋺郡山から「磐越西線」に乗り換え猪苗代駅下車、レンタチャリで湖を一周できる。個人差はあるが約2時間、疲れた体は磐越三美人の湯(日本人は三が好きな民族である)「磐悌熱海温泉」へドボン、体育の日お薦めコースである。 ㋩峠の湯は「信越本線」釜飯で有名であった横川から、廃線となったアブト式軌道の上を、軽井沢、眼鏡橋のほうへ登る途中にある。秋ならコスモスやススキの群落も楽しめる。瀟洒な木造りの温泉は空間が広くくつろげる。帰りの横川駅では、小さい子供たちに楽しい、SLや電車の広場が待っている。秋の晴れた日向けの、家族旅行にはもってこいの日帰りコースである。
<歴史を楽しむ日帰りローカル線の旅>
㋑「東北本線」の白河の関、「常磐線」の勿来の関、両者とも東北三関所のひとつである。「白河の関」はJRからレンタチャリで約50分程、定信の居城や、白河ラーメンが楽しめる。「勿来の関」は歩いて約40分、同じく杉木立の中にあり、義家を始め歌碑が数多く建てられている。因みにもうひとつは「羽越本線、鼠ヶ関」は山形県、日帰りでは少々遠い。
㋺芭蕉が「おくのほそ道」の前に「鹿島紀行」に出かけている。貞享4年(1687)名月を見る為、曽良、宗波を伴い、鹿島、潮来方面を歩き七句を詠んでいる。深川の庵から船で小名木川を渡り行徳へ、陸路八幡、釜ケ井(谷)、布佐(我孫子)、佐原、鹿島根本寺で仏頂和尚と月見を催している。現在なら佐原から「鹿島線」で鹿島神宮に参拝、スタジアムを見学、アヤメの季節なら潮来で小舟に乗り、水郷めぐりもいい。大安なら嫁入り船と交差、教養とほんのり旅である「刈りかけし 田面(たづな)の鶴や 里の秋」芭蕉
㋩定番なら「日光線」で江戸の鬼門、日光東照宮を参拝、歴史ある杉木立が並ぶ。同じ東照宮でも静岡の久能山なら、日本平の自然や、いちご狩りも楽しめる。
<ウオーキングを楽しむ日帰りローカル線>
㋑「中央本線」塩山からバスの「大菩薩嶺」、中里介山の長編時代小説の舞台である。季節毎の花々と富士山がいい角度で座っている。約5時間の歩行で疲れた足には、登山口付近に露天風呂が待っている。㋺殆ど平らな木道がお好みなら、日光駅からバスで1時間、歩行約2時間余の「戦場が原」がお薦めだ。冬場は寒気のため無理であるが、雪解けを待って湯の湖から湯元温泉まで、高山植物と野鳥の合唱が楽しめる、自然探求コース、ネイチャーロードである。㋩歩きながら富士を眺めたいなら「東海道本線」興津(おきつ)から、東に登る「薩唾峠越え」がいい。これも良く晴れた冬の日がいい。興津にこだわるのは、歩く正面にいつも、富士のお山と向かい合える事である。登山道には夏ミカンがたわわに実り、空の碧さとの対比がいい。緩やかな道を下れば「由比の宿場」、江戸城無血開城に賭けた山岡鉄舟は、幕府役人の追求から逃れるため、近くの旅籠から抜け道をたどり、偉業を達成している。由比で駿河湾の幸を堪能のあとは、家族への土産、桜エビも忘れてはならない。暫く海老入りのかき揚げ天麩羅が楽しめそうだ。 「江戸純情派 チーム江戸」
次号 ③はいよいよ 「駅や鉄道を舞台にした邦画、洋画」を御紹介します。
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